海外TVドラマ批評

実を言うと私のHPは当初このページがメインでした。

いつの間にか更新されないページになっていますが気にしないで下さい。

では皆さん、ご一緒に楽しみましょう(水野晴郎氏の声で読んでね)。

内容

·         グッドラック・サイゴン

·         マイアミバイス

·         刑事ナッシュ

·         コンバット!

グッドラック・サイゴン

原題TOUR OF DUTY

ステファン・キャフレイ&テレンス・ノックス主演のドラマ。これを無くして私のHNは語れませんね。かつての名作戦争ドラマ「コンバット! 」のベトナム戦争版です。士官学校を出たばかりの実戦未経験中尉と、たたき上げの実戦経験豊富な軍曹という組み合わせはこの手のドラマでは永遠のスタイルでしょう。

緊張しまくりの指揮官ゴールドマン中尉は死に場所を求めるが如く突撃命令を繰り返します。そこで古参の下士官アンダーソン軍曹(後に曹長へ昇進)が「まぁまぁ、そんなこと言わずに・・・。」とたしなめ、的確な助言をします。当然その通りにすればうまくいくわけで「どうです中尉。戦争ってのはこうやるんですよ。」といわれたところで一息つく。この繰り返しがいいんですよ()。まるで2時間ドラマみたいに話がモロ見えなので、安心して見ていられる訳です。

回数を追うごとに雰囲気が変わってきて、だんだん本物の戦場と本物の指揮官らしくなっていく様子が手に取るように解ります。制作スタッフも役者と共に慣れてきたせいか、周囲の硬い雰囲気と出演者の硬い表情が徐々に無くなってきているようです。

責任逃れをする軍上層部と、汚い仕事を請け負わされる部下。友軍への誤射、民間人殺害、人種問題、薬物汚染、部隊内の軋轢等、今までなかなか採り上げなかった嫌な部分を描いている、数少ないドラマといえます。

現在見ることが出来るのは制作年度順に上げると、

@    NAM−地獄の突破口

A    ベトナム1967

B    グッドラック・サイゴン

C    グッドラック・サイゴン2

D    コマンド7・閃光のM16WOWOW放送時は「グッドラック・サイゴン2」のまま)

となります。どういう訳か私の実家の近所にあるビデオ屋さんでは以前フルセットで在庫していました(今はもう有りませんが)

お勧めは第3作〜第5作でしょう。最初の2作は表情が硬過ぎて見られた物ではありません。まぁ進行上、昔話が出たりするのでストーリーを完璧にしたければ話は別ですが。

私が一番印象深かったエピソードはゴールドマン中尉が友人のベラー中尉(グレッグ・ジャーマン)を告発した事件でした。度重なる作戦行動に疲れ切っていたベラー中尉は休養の進言をしましたが却下され、再度出撃命令を受けます。そこでブチギレしたベラー中尉は再出撃で民間人43名を殺害してしまう事件を起こしてしまいました。それを目撃したゴールドマン中尉がベラー中尉を容疑者として告発したのです。

事を公にしたくない陸軍上層部からの圧力が働いていたにも拘わらず、査問会の開催を要求したのはゴールドマン中尉の上官で両中尉とは旧知の仲でもあるブルースター大佐でした。大佐は上層部から煙たがられて、ついには指揮する部隊をも取り上げられてしまいました。しかし地道な努力を続けてやっと開催までこぎ着けたのです。査問会でベラー中尉の戦争犯罪が立証されれば今度は軍法会議の開催になります。そうなればベラー中尉の処罰は確定的です。

自分の証言によっては旧友を軍法会議にかけるかもしれないという思いからか、ゴールドマン中尉の表情は苦悩に満ちていました。

 

最初に戻る

マイアミバイス

ドン・ジョンソン&フィリップ・マイケル・トーマス主演の刑事ドラマ。海外ではテーマパークも有ったようです。ちょっと似てない役者さんが派手に演じているそうで、一度見に行けば良かったと後悔しています()。どなたか情報をお持ちの方はお知らせ下さい。

最近、全シーズンDVD化されたので当時を懐かしみながらゆっくり何度も見られます()。ストーリーにおいてはドンデン返しが多く、日本の刑事ドラマでは絶対に見られないシーンが有りました。たとえば、

・捜査員が犯人に買収されている。捜査情報が全部バレバレ。

・犯人が外交官なので手が出せない。犯人やりたい放題。

・犯人が自殺する。日本の2時間ドラマだと直前で制止され無事逮捕出来るが、このドラマでは間に合わない。

・犯人逮捕後、被害者やその遺族が復讐のために犯人を殺してしまう。ハッピーエンドの筈が最後に暗転。

・犯人が逃げ切る。←これ最悪

頼りにしていたバイスのリーダー(警部)が殺し屋に暗殺されてしまったのには驚きです。「太陽にほえろ」の藤堂係長が殺されるようなものです。

最も後味が悪かったのが警官殺しをして死刑判決になった奴の話。良くある話ですが、犯人は服役中に無実を訴えて再捜査を要請します。凶悪犯の言うことに誰も耳を貸しませんでしたが「もし真犯人が野放しになっていたら・・・。」という心配が再捜査をさせる事になります。そして新たな証人の出現により、死刑執行直前で犯人とされた男は釈放されます。でも、せっかく見つけた証人は不慮の事故で死亡してしまい、事件は迷宮入りかと思われたとき、釈放されたばかりの男が「本当の犯人は俺さ。」とニヤニヤしながら告白します。こんな話を日本の刑事ドラマでやったら抗議間違い無しでしょう。

音楽はヤン・ハマー。非常に良くできていて、サントラは今も新鮮に聴けます。

 

最初に戻る

刑事ナッシュ

原題Nash Bridges

マイアミバイスの主演だったドン・ジョンソンがまたまた主演してくれたドラマです。あの暴れん坊が成長したらこうなるんだろうなぁという感じに仕上がっています。スタイルも80年代のバブリーなファッションから90年代の落ち着いたファッションになっています。ドン・ジョンソンも制作に深く関わっているようで、彼の気合いの入れようが伝わってくる作品です。場所はマイアミからサンフランシスコに変え、任務もバイス(風俗課)からSIU(特捜課)に変わっています。役職も、相棒と共に活躍する平刑事からSIUを仕切る警部になっています。しかし、ショルダーホルスターだけはバイスの頃と同じだそうです(テレビ東京のホームページによる)。

ビデオでは「処刑調書」という原題とは全然関係ない題名でリリースされていますが、たったの1巻だけです。テレビ東京で放映終了となってしまった現在となっては、バイス同様の全話DVD化を強く希望してやみません。

ストーリーはバイスほど暗い物ではなく人情味溢れた、更に一部コメディも有る楽しい仕上がりとなっています。メインとサブの話が同時進行するスタイルが多く、ときどきどちらがメインの話なのか解らなくなるのが玉に瑕と言って良いでしょう(笑)。ただ、その内容は実に現代的で、訴訟有り、オカマ有り、政治がらみ有りといったもので退屈しません。最も忘れられないのは、SIUの紅一点だった刑事(ケリー・ヒュー)が殺害されてしまうときです。殺人鬼に襲われてしまい、仲間の刑事達が駆けつけたときには既に息を引き取っていました。刑事達は犯人を追い詰めますが、狡猾な犯人は精神異常のフリをして不起訴処分を画策するのです。そこでブリッジス警部が銃を向けて(以下自粛)

ちなみCSI:NY4シーズンではケリー・ヒューの刑事姿を再び見る事が出来ます。

 

最初に戻る

コンバット!

原題COMBAT!

ヴィック・モロー&リック・ジェイソン主演のドラマ。1962年から1967年まで続きました。

不朽の名作。コメントをいろいろ考えているのですが、あまりに古くてなかなか思い出せません。第2次世界大戦の話で、欧州の西部戦線が舞台になっていたとおもいます。鮮明に憶えているのはドイツ軍の戦車や装甲車が出てくると何故か天蓋(ハッチ)が開いていて、ゲスト出演の米兵が数人撃たれた後、レギュラー出演の米兵が手榴弾を投げ込み一件落着するということです。インテリ小隊長と古参軍曹が主人公となっているこの手の話は後のグッドラック・サイゴンに引き継がれています。ファンの年齢層は大変幅が広く、また、ビデオ屋さんに数巻は必ず置いてありますのでいつでも見られると思います。このドラマの場合は日本語版も普及しています。配給会社が変わると吹き替えも変わることが多いのですが、主演のサンダース軍曹を演じるヴィック・モローばかりはいつも同じ声優さんが演じています。ヴィック・モロー=田中信夫という定式は、クリント・イーストウッド=山田康夫と通じる物があります。

 

追記その1

先日DVD1枚ゲットしました(嬉)。

タイトルは「丘は血に染まった」(原題”Hills are for heros)という前後編2話完結のエピソードです。

解説に寄りますとモノクロバージョンの最終作で、これ以降はカラーバージョンとして放映されていたそうです。

シリーズ中で最大の死傷者を出したこのエピソードは同番組の「停車場の三日間」と並ぶ傑作として評価されています。

 

RIMG0029

ストーリー

欧州某所において丘陵地帯の占拠を指示された米軍歩兵ヘンリー少尉(リック・ジェイソン)は1個小隊約20余名を率いて任地へと向かった。見晴らしの良い丘の頂上には独軍のコンクリート製武装監視塔が2箇所、距離を置いて構築されていた。ヘンリー隊が接近するや否や監視塔から激しい銃撃を受け、小隊は前進を阻まれてしまう。第一撃で小隊兵員の多くが被弾し、頼みの古参兵サンダース軍曹(ヴィック・モロー)も右大腿部に重傷を負い行動不能となってしまった。

俊足の隊員が手榴弾による肉薄攻撃を試みようとしたが援護物が無いため近づけず、小隊が保有している30口径機銃で敵の射撃を抑制しようにも1挺しかないため、重機関銃3挺以上を装備する独軍に対して火力不足は明白であった。射撃の優秀な兵により狙撃班を臨時編成し、掃射妨害を試みようとしたがこれも撃退されてしまった。

中隊本部へ猛抗議したヘンリー少尉の甲斐あって、ようやく戦車が1輌派遣されてきた。小隊全員が歓喜の声をあげて戦車を出迎える。

しかし独軍監視塔には重機関銃だけでなく対戦車ロケット砲までもが装備されていたのだった・・・。

解説

しょっぱなから絶望的な展開となっています(悲)。

投入された兵員はコンバット史上最多の人数ではないでしょうか。しかし見晴らしの良い緩やかな丘を登ろうとして次々と倒されていきます。終盤には半数以上が戦死か行動不能に陥り、分隊支援火器射手のカービー(「噛み付き屋」のようなキャラ)が「もうダメだ。俺たちには出来ねぇ(泣)。」と言い出す始末です。また、いつもは沈着冷静なヘンリー少尉も部下に対して大声を張り上げてしまうという珍しいシーンが見られます。よく考えたら援護物も窪みもない平原に近い丘陵地帯で、歩兵による突撃を繰り返す方がおかしいのですがその辺はあまり考えないようにしましょう。

最後にどんでん返しがあって思わず「え゛っ!?」と言ってしまいそうになりますが、このような展開は何かしこりの残る最近の映画と似ていて面白いと思います。

ちなみにTVドラマとしてはたった1話のエピソードにもかかわらず常識外の予算と日数を費やしてしまい、監督していたヴィック・モローはテレビ局から随分と苦情を言われたらしいです。しかし、そのお陰で今では多くのファンが感動するドラマとなりました。

 

追記その2

チップ・サンダース軍曹ことヴィック・モローは1982723日、映画「トワイライト・ゾーン」の撮影中ヘリコプターの事故に巻き込まれて他界してしまいました。享年53歳(生年月日には1930年前後で諸説有り)。

ギル・ヘンリー少尉ことリック・ジェイソンも20001016日、不慮の死を遂げました。

彼は日本が大好きだったそうです。また、映画「小説吉田学校」にも出演しました。享年77歳。

長身のリトルジョン伍長(ディック・ピーボディ)はときどきリチャード・ピーボディとも称しており数々のTVやビデオ映画で活躍しましたが19991227日、前立腺癌で他界しました。享年74歳。

皆、残念でなりません。

 

ときどきベレー帽を被っているケーリー(ピエール・ジャルベール)はカナダのケベック出身だそうでレジスタンスの通訳をする場面では流暢なフランス語を話しておりました。映画「エアポート’79」やTVシリーズの「サンタバーバラ」に出演するなどしています。

また、ウィリアム・G・カービー2等兵(ジャック・ホーガン)はコンバット!の終了後も数々のTVドラマで活躍し「パトカー・アダム12」にも警察官役として出演していたそうです。

 

最初に戻る

 

Home

 

最終更新日: 2010/10/22

inserted by FC2 system